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が、孝一の表情が変化している。
さっきまでの楽しさ一色ではなく、困ったような複雑な表情へと。
そして彼はチラリと時計を見た。
ここに何時までいるべきか思案しているのだろう。
「メール、沙織から?」
「多分」
「私のことなら気にしないでメール確認して」
「うん、ごめん……」
謝りながら携帯を開く孝一。
メールを読み終えたのか、パタンと閉じて言う。
「やっぱり沙織だったよ」
「沙織、待ってるんでしょ?」
「うん。企画書も書き終えたから、って」
「……」
重く気まずい沈黙が流れる。
やっぱり睡眠薬に頼る作戦しかないのか――。
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