遥子の本気

10/18
前へ
/37ページ
次へ
「ええ、いいわよ。彼と住んでるマンションよね?」 「ううん。私、今一人暮らしなの」 「え?」 「別れたのよ。だからアパートに一人暮らし。来てもらえるかな?」 「行くわ! いつ行けばいい?」 「明日でもいい? もし遥子の予定が空いてるなら……」 「大丈夫。行くから場所を教えて」 翌日の昼過ぎ、沙織に聞いたアパートの最寄り駅に着いた。 電車を降りて改札を抜けたところで、沙織の待ってる姿が目に飛び込んできた。 沙織、痩せちゃったな――。 この前会った時……豪ちゃんを紹介してもらった時よりも、身体が一回り小さくなったように見える。 私に気づいた沙織が笑顔を向けた。 だがその笑顔は淋しげで、無理して笑っているように感じた。 「ありがとう。わざわざここまで来てくれて」 「ううん。それより沙織、痩せちゃって……。ちゃんと食べてる?」 
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加