遥子の本気

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狭い玄関からキッチンを通り抜けたワンルームには、淡いブルーのカーペット。 白いローテーブルの上には、大皿にサランラップをかけたサンドイッチが置いてあった。 「何にもない部屋でしょ。あ、座って」 沙織に促されてテーブルの前に座る。 「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」 私が「紅茶」と答えると、沙織は二つのカップに紅茶を淹れて持ってきた。 紅茶に口をつけながら、尋ねたいことが次々と頭に浮かんでくる。 だけど私から聞いてはいけない気がして、沙織が話し始めるのを待っていた。 「遥子は元気そうね。この前会った時と顔つきが全然違うわ」 「沙織のおかげよ。豪ちゃんと付き合うようになって、笑うことを久しぶりに思い出した感じなの」 「良かった……。本当に」 淋しげに微笑む沙織に言い返すことができず、私は黙って紅茶を飲む。
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