遥子の本気

7/18
前へ
/37ページ
次へ
一気に感情が昂り、涙となって溢れてくる。 「泣かないでよ。僕の言葉、遥子ちゃんを悲しませたのかな……」 「ううん、逆よ。私、ずっと大切にされてなかったから……豪ちゃんの気持ちが嬉しいの」 「……」 「私から終わりにしなければ続くなんて……それが本当なら、とっても幸せよ」 「僕の本心だよ」 「でもどうして? 知り合ってまだ二ヶ月も経ってないのに。それに豪ちゃんの周りには素敵な人が多いのに……どうして私なんか」 「遥子ちゃんは魅力的だよ。自分で思ってるより、ずっとずっと」 言葉にできないほどの喜びに満たされる。 長い間自分に自信を失くしていた私にとって、豪ちゃんの言葉は宝物。 かけがえのない宝物。 涙を拭こうと目元に指を置いた時、舞い落ちてきた桜の花びらに触れた。 その様子を見ていた豪ちゃんが言う。 「遥子ちゃん、今から勝負しよう」 「勝負?」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加