遥子の愛

7/14
前へ
/32ページ
次へ
ウエイトレスがコーヒーのおかわりを尋ねてきた。 私たちは二人ともおかわりを頼み、カップにコーヒーが注がれる。 店のサービスでチョコレートも付けてくれた。 小皿に乗った四粒の丸いチョコレートを見て、私たちは子供のように喜びの顔。 こんなささやかなことで喜べる私たちは、今けっこう幸せなんだと再認識した。 沙織が嬉しそうにチョコレートを一粒口に入れる。 「美味しい。中にブランデーが入ってて、大人の味よ」 そう言って微笑む沙織は、やっぱり幸せそうに見えた。 「ねぇ、孝一さんは何で連絡してきたの? 教えてよ」 「それがね、特別なことは何もないの。メールが来たんだけど、普通に“元気ですか?”みたいなメール」 「そう……」 「あとね、私のことをずっと応援してる、とか。それは嬉しかったんだけど」 「孝一さん、何でメールしてきたのかしら?」 「わからないわ。久しぶりにふっと思い出してくれたのかな……。それはそれで嬉しいけど」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加