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内容は特にどうってことのない普通のメール。
だけどなぜ今頃、孝一さんは沙織にメールを送ったの――?
彼の真意を知りたかった。
彼の気持ちを探るように、私は何度もメールを読み返していた。
メールアドレスが目に留まったのは、何気なくだった。
目を留めた特別な理由もなかった。
短くて覚えやすいアドレス。
私が彼のアドレスを知ったところで何の意味もないのだが、なぜか忘れないようにメモしていた。
いつか何かの役に立つかもしれない――。
無意識のうちに、そんな考えが働いたのかもしれなかった。
化粧室から沙織が戻って来て席に座る。
「遥子はどう思う?」
「うーん。普通に近況報告みたいなメールだよね」
「そうなの。でもね、私が気になったのは、『僕はまぁ元気というか……最近いろいろ考えてしまいます』のところ」
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