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「孝一さんにちゃんと問いかけたんだね」
「うん。何かあったのなら、話して欲しいと思って」
「それで返事は?」
沙織は少し淋しそうに首を横に振った。
「まだ来てないわ」
「そっか……。あ、でも、まだ二日しか経ってないもんね。今日か明日あたりに来るかもしれないし」
「そうかな。来ればいいけど……」
「沙織が入院したことを伝えてれば会えたと思うよ。孝一さん、お見舞いに来てくれたと思う」
「うん。でも、そういう会い方は嫌だったから。弱い立場を利用して甘えてるみたいで」
「沙織は健気だなぁ。留美とは大違い」
私が憤慨したように言うと、沙織は力なく微笑んだ。
「でもね、メールくれただけでも凄く嬉しかったの。別れても私を覚えててくれたことが」
「孝一さんが沙織を忘れるわけないよ。三年も一緒に暮らしたんだもん!」
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