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「ねぇ? 豪ちゃんは別れた女性に連絡することってある?」
情事後の甘い余韻に浸りながら、私は尋ねてみた。
裸のまま二人で布団に包まり、私の髪を撫でていた豪ちゃんの手が止まる。
「別れた彼氏から連絡でもあったの?」
「私じゃないわ。友だちの話」
「僕ならしない。別れたら自分から連絡することはないよ」
「そうよね……。連絡するってことは、未練心が出たのかしら?」
「そういう場合もあるよね。でも、何となく感傷的になって……っていう軽い気持ちの場合もあるだろうね」
「……」
豪ちゃんの言うことは、もっともだと思う。
だけど孝一さんは、軽い気持ちで連絡なんてしないような気がした。
沙織に未練が出てきたのでは?
留美を選んで後悔しているのかもしれない――。
私は確かめたくてたまらない気持ちになる。
メモに残したメールアドレスのことまで思い出していた。
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