沙織の涙

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しかし予想以上に松岡先生は褒めてくれる。 「アリバイを崩していく部分なんかも面白かったけど、犯人の心理描写がいいね。感動があった」 「……」 先生の言葉を聞きながら、嬉しくて泣きそうになる。 「これは僕もプロデューサーも一致した感想だったよ」 「あ、ありがとうございます」 「お礼を言うのは僕の方だよ。本当に助かった」 「松岡先生にそう言っていただけると、本当に嬉しいです」 「今回は僕もスケジュールがきつくてね。最初にプロデューサーから依頼された時は、断ろうかと思ったくらいなんだ」 「そうでしたか」 「でも、あの女性弁護士シリーズは人気だし、逃したら勿体無いと考え直したんだ」 「ほんと、そう思います!」 その人気シリーズは、今回で8回目になる。 今まで放送された7回は別の脚本家が書いていたのだが、彼が体調を悪くして入院中のため、松岡先生に話が回ってきたのだ。
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