沙織の涙

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松岡先生はもったいぶるように、ゆったりとコーヒーを飲んでいる。 私は早く話の結論が聞きたくて身を乗り出した。 「それでは、あの……企画書は採用ですか?」 「うん。あの内容で採用決定したよ。シナリオもすぐに書いて欲しいと頼まれた」 私は感無量で、天にも昇る気持ちだった。 今まで何度か企画書が採用されたことはある。 でも、今回は別格。 こんなに嬉しい気持ちは初めてだった。 「本当に嬉しいです。私、感激で……」 目頭が熱くなり、涙が溢れてくるのを止められなかった。 急いでハンカチを取り出し、涙を抑える。 「それでね、沙織ちゃん……」 「はい!」 私は期待に胸を膨らませて返事をした 。 約束通りシナリオを書かせてもらえると信じていたから。
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