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シナリオを書くにあたってのアドバイスとか、そういう話に進んでいくのだと思っていた。
しかし私の感激や期待とは裏腹に、松岡先生の表情が何だか微妙だと気づく。
私への申し訳なさや、媚のようなものが含まれている気がして……。
松岡先生は言葉を続けた。
「僕はもちろん、プロデューサーに沙織ちゃんのことを話したよ」
「はい……」
「この企画書を書いたのは沙織ちゃんで、シナリオを書く腕もある人だって」
「ありがとうございます」
私は深々と頭を下げる。
「沙織ちゃん、そんな堅苦しいお礼なんていいから。僕が恐縮しちゃうよ」
そう言われて私は顔を上げ、松岡先生の目を見つめた。
彼は申し訳なさそうな顔で 私の視線をそらし、頭を掻きながら言う。
「だけどね、プロデューサーに言われちゃったんだよ」
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