遥子の決意

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この場所から自分を解放してあげなくちゃ……。 私は真っ直ぐに夫を見つめて言った。 「離婚してください」 夫の左眉がぴくりと上がる。 不機嫌を露わにした顔。 「なんだ、いきなり」 「手短にって言われたから、そうしたのよ」 「言いたいことはそれだけか?」 「……ええ」 本来なら、それだけの筈がない。 今日までの積もり積もった憤懣、悲しみ――。 自分の苦しかった気持ちだってぶつけたかった。 離婚の具体的な条件だって話すべきなのだろう。 だけど、もういい。 どうせ夫は私の言い分になど耳を傾けない。
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