遥子の決意

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だから……。 静かに何事もなかったように、当たり前のように離婚できればいい。 それでいい。 「本気なのか?」 「本気よ」 「……わかった。考えとく」 夫は一言告げると、玄関からリビングに向って廊下を進む。 私は後から追いかけながら、夫の背中に向って問い詰めた。 「考えとくって……いつまで待てばいいの?」 私の問い掛けに振り向く夫。 「一週間。いや、そうだな……来週の金曜の夜に話そう。それまでに俺もいろいろ考えたい」 「分かったわ。来週の金曜日ね」 「ああ」 離婚の意志を告げても、夫の表情や態度に大きな変化はなかった。 いつもより少し不機嫌さが増しただけ。
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