遥子の決意

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アルバイトなどではなく、安定した正社員にならなきゃダメだ。 豪ちゃんとの結婚は最初から諦めている。 金銭的な援助も望んでいない。 豪ちゃんとは自立した大人同士の恋愛関係として、これからも続けていきたかった。 ――勤め先が決まったら、夫に離婚を切り出そう。 私はそう決めた。 そして今日は、二種類の就職情報誌を家に持ち帰った。 正社員、事務職、各種保険付き、初任給18万円以上。 これが私の希望条件だった。 勤め先の場所にはこだわならい。 どうせ、この家は出て行くのだ。 東京であれば勤務地はどこでも良かった。 会社の規模や知名度もどうでも良かった。 普通に食べていけて、豪ちゃんと会い続けられるなら、今はそれ以上望んでいないから。 私は条件に当てはまった会社に片っ端から履歴書を送っていった。 その日だけでも30通以上になった。
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