274人が本棚に入れています
本棚に追加
「元気? 遥子と話したくなって電話しちゃった。近いうちに会わない?」
「どうしたの? 何かあった?」
「うん、まぁちょっとね」
沙織の声は嬉しそうに弾んでいた。
何かいいことがあったに違いない。
「沙織、いいことあったでしょ? 声が嬉しそうだもの」
「ふふ、そんな大きなことじゃないんだけど……。遥子には聞いてもらいたいのよ」
「いいわ。実は私も沙織に相談があるの」
「どうしたの?」
「会って話すわ。沙織と違って悩み相談だけどね」
「聞くわ。会いましょう!」
私たちは今度の日曜日に会う約束をした。
「できれば外で会うのではなく私の部屋に来て欲しい」と沙織にお願いされ、私は承諾する。
経済的に苦しい沙織は、交際費に回せるお金が少ないらしい。
「部屋で会うことで少しでも節約したい」と恥ずかしそうに言った。
以前と違って今の私には、その気持ちが充分理解できる。
最初のコメントを投稿しよう!