浮かれる沙織

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私が黙っていると、孝一は自嘲するように言う。 「僕の憂鬱はそんなとこ。つまらない話を聞かせて申し訳ない」 「ううん……」 ――お願い。誰が何を言ってきても、留美とは別れて! 叫びたかったけれど、その言葉は飲み込んだ。 「沙織は最近どう? シナリオの方とか」 「私は特に変化なし」 「企画書は続けてるんでしょ?」 「とりあえず今、抱えてる物は無いわ。最近、依頼されてないし」 「そうか……」 孝一が心配そうな顔で私を見つめる。 「でもまぁ、あれよ。依頼されてなくても自分から持ち込むことはできるから。『面白そうなモノが出来たら、いつでも持ってきて』って言われてるから」 「制作会社に?」 「そう。馴染みのプロデューサーとか、脚本家の先生にもね」
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