浮かれる沙織

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私たちはお弁当を食べ終えていたが、その場に座ったまま話し込んでいた。 芝生や木々の緑と空の青が美しく融け合った風景の中、私たちは現実の話に夢中で。 「持ち込み用の企画書は書いてないの?」 「うーん……。ちょっと間を置きたくなって。やる気とか興味とかがシナリオコンクールの方に集中してるから」 「それなら納得だよ。この前言ってたシナリオ大賞?」 「それも含めていろいろ。ラジオドラマや映画のシナリオも含めたら、シナリオのコンクールって結構あるから」 「いいね。沙織は充実してて」 「そうかな。企画書からデビューの方が近道だと思ってたんだけどね……。自分でもよく分からない。充実なのか惰性なのか意地なのか……」 「書き続けてれば、いつか夢は叶うさ」 孝一の言葉に同意したかったけれど、安易に肯定できない自分がいた。 自分の才能に自信を失い始めていたから……。 自分の書く作品を素晴らしいとは思えなくて。 ストーリーも構成もセリフも平凡で、突き抜けた魅力があるとは思えない。 すべてが独り善がりに感じていた。
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