浮かれる沙織

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10月に入り、本格的な秋風が髪やスカートの裾を揺らす。 午前中の日差しは柔らかで、青々と広がる空は美しく、私がとても好きな季節。 私は上機嫌で歩きながら、フンフンと鼻歌まで飛び出しそうだった。 今日の私が上機嫌な理由は、これから孝一とデートだから。 そう、これはデートと呼んでいいだろう。 昨夜、孝一から電話があって誘われたのだ。 「もし良かったら明日、箱根にでも行かない? 急な誘いだから無理かな?」 「行く! 行きたいわ!」 私は二つ返事でオッケーした。 土曜日で特別予定もなかったし。 第一、 余程のことがない限り、私が孝一の誘いを断る筈がない。 しかも孝一とは初めてのドライブデート。 「たまにはレンタカーでも借りてドライブしながら、のんびり自然を味わいたい」 と、孝一が提案したのだ。 それを聞いた私は、飛び上がらんばかりに喜んだ。
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