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お茶や食事だけで会うのとは違って、もっと甘く特別な意味があるような気がして……。
孝一は車を持っていない。
学生時代に免許は取ったものの、「東京での今の生活に車は必要ない」と言って、車を買おうとはしなかった。
「明日の運転は大丈夫?」
私が尋ねると、孝一は自信満々な声で答えた。
「お盆休みに実家の車に乗ったけどさ、運転技術はまったく問題なかったよ」
その答えに私は安心して、「明日が楽しみね」と伝えた。
私のアパート付近の公園前に来てくれることになり、そして今日、私は浮かれながら外に出たのだ。
約束の時間は11時。
公園のすぐ側まで来た時、クラクションの音が聞こえて振り向いた。
フロントガラス越しに孝一の笑顔。
車はごく普通のグレーのセダンだ。
孝一がドアを開けてくれて、私は助手席に乗り込む。
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