浮かれる沙織

4/18
前へ
/34ページ
次へ
「ありがとう。急な誘いなのに来てくれて」 孝一は優しい声で言った。 「ううん、私の方こそ誘ってくれて嬉しかった。箱根にドライブなんてワクワクしちゃう」 素直な本音を伝える私。 「そう言ってもらってホッとした。嬉しいよ」 言いながら孝一はアクセルを踏み、車を走らせる。 カーナビに従ってのドライブは順調で。 私は窓からの景色を眺めながら、幸せを感じていた。 だって、隣りには孝一がいる。 ドライブデートの相手に私を選んでくれたのだ。 留美ではなくて。 ――その後、留美とはどうなったの? 知りたかったけれど、自分から質問するのは止めておいた。 今はこのドライブの楽しさに集中しよう。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

293人が本棚に入れています
本棚に追加