浮かれる沙織

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おにぎりに卵焼き、鳥の唐揚、きんぴらごぼう。 シンプルで平凡なお弁当だけど、私なりに頑張ったつもりだった。 「ほんとに癒されるよ。自然の中で食べるお弁当なんて最高!」 「良かった。作った甲斐があったわ」 「やっぱりさ、たまには仕事を忘れて日常から離れて、こういう時間を持つのは大切だよな」 「うん。たまには私もパソコンから解放されたくなるもん」 「最近、人間関係にも疲れ気味だったからさ」 何気ない孝一の言葉にドキッとした。 人間関係に疲れ気味って……それって、留美のこと? 聞くのをためらう気持ちはあったが、やっぱり尋ねてしまった。 「それは留美のこと?」 「……うん。留美だけならまだマシなんだけどね。ちょっと大変なことになっちゃって」 憂鬱そうな顔でため息をつく孝一。 「どうしたの?」
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