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「いや、ごめん。せっかくこんな場所まで来たのに、ムードぶち壊しだよな」
「気にしないで。もし良ければ話、聞くわ」
孝一は迷っている表情で、食べ終えた弁当箱を片付けている。
「別れ話はしたの?」
孝一のためらいを打ち破るように私は質問を向けた。
「ああ」
「すんなり決着ついた?」
「全然ダメ」
「そっか……」
私も孝一の溜息と同じように、ふぅと息を吐いた。
留美が簡単に諦めるわけないもんね……。
「別れたいって言ったんだけど、一ヶ月の冷却期間ってことになった」
心の中が黒くて厚い雲に覆われた気分だった。
目の前に広がる空は、こんなに青々としてるのに。
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