耐えられない遥子

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「沙織の方からラジオ局に電話してみたら?」 「とんでもない。そんな図々しいこと、できないわ」 「図々しいかなぁ? 電話で尋ねるくらい普通だと思うけど。だって『連絡する』って言ったのに、してこないんだもの」 沙織は困ったように視線を落とす。 「正式な発表がもうすぐだから。その日を大人しく待ってるわ」 「そっか。もうすぐだもんね。私も良い結果を祈ってる」 「ほとんど諦めてるけどね。連絡来ないから」 沙織の肩は震えていて、再び泣き出しそうに見えた。 私は沙織の前に3本目の缶チューハイを置き、励ますように言う。 「飲もう。今夜はとことん!」 沙織は2本目の残りを飲み干し、3本目のプルトップを開けた。 「ピザも焼くね。眠くなるまで飲んで食べよう」 私は立ち上がって冷凍のピザを焼きにキッチンへ向う。 沙織の正面から離れてピザの用意をしている時、ふっと豪ちゃんの顔が浮かんできて、やっぱりどうしようもなく泣きたい気分になった。
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