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しみじみとした口調で言いながら、目にうっすらと涙を浮かべた。
孝一は姿勢を正し、私の気持ちを受け止めたように言う。
「僕は身勝手で申し訳ない事をしたと思ってる。憎まれて当然なのに、そう言ってもらえて、凄く感謝してる……。僕も留美の幸せを願ってるよ。勝手な言い草で本当にごめん」
「良かったわ。最後、こんなふうに穏やかに話せて……。すぐ取り乱しちゃうダメな私だけど、孝一さんのことは本気で好きだった。今まで会った誰よりも……」
それは本心だった。
孝一と一生を共にしたいと強く願った。
それだけは真実。
「ごめん。昨夜は僕の方こそ取り乱して、留美を非難して。留美は良いところが沢山あるし魅力的だから、僕なんかより良い人とすぐに出会えるよ」
孝一は精一杯、私をフォローした。
私は「ありがとう」と微笑んでコーヒーをひとくち飲み、真剣な眼差しを孝一に向ける。
「孝一さん、あのね……」
思わせぶりに言いかけたあと、ためらいの表情を作る。
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