246人が本棚に入れています
本棚に追加
エレベーターを5階で降りた私と孝一は、チェックインした部屋に向って長い廊下を歩く。
私の気持ちの半分以上は、戦いが上手くいった勝利者のように喜びが溢れていた。
孝一と一緒に泊まれる状況まで、事は運べたのだから。
自分たちの部屋を見つけ、カードキーを差し込んでドアを開ける。
私が部屋の中に入ると、あとから孝一もそっと足を踏み入れた。
オートロックのドアがガチャリと閉まる。
二人だけの密室になり、私はすぐにでも孝一に抱きつきたい衝動に駆られた。
その激しい気持ちをぐっと抑え、体調の悪いフリをする。
「ちょっと横になるわ。その方が楽だから」
「大丈夫?」
孝一は心配そうに私を見つめる。
「多分、しばらく横になってれば治ると思う」
私は上着も脱がず、窓際のベッドに横たわった。
孝一はもう一つのベッドに腰を下ろす。
最初のコメントを投稿しよう!