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「何かあったの?」
孝一が背を向けたまま眠そうな声で訊いた。
私はすぐには答えられず、どう言うべきか考えていた。
「具合はどう?」
背を向けたままの孝一が、もう一度尋ねてくる。
私は意を決して立ち上がると、孝一のベッドに近寄って行った。
私の気配は感じている筈なのに、孝一は振り向かない。
私の方を見ようとせず、頑なに背を向けている。
「ねぇ、孝一さん……」
私は孝一の枕元でささやいた。
相変わらず孝一は私を見ようとしない。
「早く眠った方がいいよ」
「不安で眠れそうにないの。そっちのベッドに入っちゃダメ?」
「狭くてもっと眠りにくくなるよ」
「でも、添い寝してもらったら、気分が落ち着きそうだから……」
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