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「お祝いできたらいいな……。でもダメだった時も会いたいな」
「ダメだった時のことなんか考えない方がいいよ」
孝一は明るく励ますように言う。
その明るさは、どこか無理をしているように見えた。
「でもダメだった時の方が一人じゃ辛いわ。残念会ってことで慰めて欲しいな」
私は素直に本音を伝えた。
本当にそうだから。
孝一がそばにいてくれるなら、何度でも立ち上がって頑張れる気がした。
私は優しい返事を聞きたくて、彼の目を見つめる。
だが孝一は私の視線をそらして言った。
「万が一ダメだったら、その時に考えればいいよ。今は良い結果だけを信じてればいい」
「そうね……」
同調しながらも、淋しい気持ちに突き落とされた。
今夜の孝一は私に対してよそよそしい。
箱根へドライブに行った時などとはまったく違う。
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