沙織の恋と仕事

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本当は食欲など出そうもなかったけれど、私は誘ってみた。 「じゃあ、そうしよう」 孝一が私の家の最寄り駅まで来ることになり、電話を終えた。 私は急いでシャワーを浴びたくて浴室に向う。 孝一との約束に意識は夢中で、頭痛と胃のもたれは和らいでいた。 夕方6時、私は約束した駅の改札で待っていた。 数分ほど遅れて孝一が現れる。 「ありがとう、こっちまで来てくれて」 「いいんだよ。遠くないんだし」 「夕飯、何を食べる?」 「実はあまり食欲がないんだよね。だから軽めの物がいいんだけど……沙織はどうしたい?」 「私も食欲ないのよ。二日酔いだし」 「じゃあ落ち着けそうな居酒屋にして、自分のペースで飲んだり食べたりしよう」 私たちは駅前の通りにある創作料理の居酒屋を選び、店内へ入って行った。
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