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「そうなの?」
私は驚きの声を上げていた。
今度はこっちがパスタを食べる手を止めてしまった。
遥子が言いにくそうに小さな声で伝える。
「離婚して家を出た時、たまたま沙織のアパートに空き室があって」
「一緒に住んでるんじゃないのね?」
「違う違う。同じアパートだけど部屋は別よ」
「そう……」
遥子と沙織が同じアパートに住むほど親密だと知り、動揺と疑問がふくらんだ。
聞きたいことが山ほど出てきそうで、私は水を飲みながら頭の中を整理する。
ちゃんと一つずつ確めなければ……。
「沙織は元気?」
「元気よ。そうそう凄いの。シナリオで賞を取ってね、デビューするかもしれない」
「それ、いつ?」
平静を装って聞きながらも、沙織の快挙に心はざわざわした。
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