留美の独占欲

6/18
前へ
/37ページ
次へ
自分が動揺したのを悟られないように、フォークを強く握ってパスタを巻く。 「発表はほんの数日前。明日はラジオ局に呼ばれてるわ」 「沙織、凄いのね……」 「ほんと。これからどんどん活躍して、私とは違う世界へ行っちゃう気がする」 遥子の苦笑いは悔しそうにも淋しそうにも見えた。 沙織の栄光を100%喜んでいるわけではなさそうだ。 「私のことは沙織から聞いてる?」 二人ともパスタを食べ終わり、コーヒーを飲み始めた時、思い切って質問してみた。 遥子は返事に困ったようで、聞き取りにくいほど小さな声で答える。 「うん……」 「どこまで知ってるの?」 「孝一さんのことなら大体は聞いてる」 コーヒーをゆっくりと飲み、カップをソーサーに置きながら、自分でも驚くほど優しい声で尋ねる。 「聞いて遥子はどう思った? 私のこと、最低だと思ってる?」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

272人が本棚に入れています
本棚に追加