留美の独占欲

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「私は普通じゃないのかもね。でも、普通って何なんだろう……。私は自分の気持ちに正直に生きてるだけよ」 「恩のある友達を裏切っても?」 「友達より彼が大事だったから。どうしても孝一さんが欲しかったの」 遥子は言葉に詰まったのか黙ってしまった。 必死に言葉を探すような表情でコーヒーを飲んでいる。 私もコーヒーをひとくち飲み、今度は質問する立場に回った。 「遥子は家庭のある彼のこと、奪おうと思わなかったの?」 「思わなかったわ」 「どうして? 本気で好きだったんでしょ?」 「好きでも無理よ。奪うとか、最初からそういう気持ちじゃなかったし、彼だって家庭を捨てる気なんて全然なかった」 「それって私に言わせれば、所詮その程度の気持ちなのよ」 遥子がムッとした顔で私を睨む。 「その程度の気持ちって何? 遊びって言いたいの?」 「そこまでは言ってないわ! ただ、簡単に諦められる程度の気持ちなんだ、って思っただけ」 「簡単に諦めたわけじゃない! 今だって淋しいし悲しいわ」
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