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「そうねぇ……」
私は答えをためらうように窓の方を向き、高層から広がる壮大な景色を見つめた。
「沙織からは別れたって聞いてるけど……本当はどうなの?」
遥子は知りたくてたまらない様子だ。
その気持ちが友達である沙織のためなのか、単なる好奇心なのかは分からないけれど。
私は視線を窓から遥子へと戻し、質問に質問で返した。
「沙織はまだ孝一さんを好きなの? 彼と会ったりしてるの?」
遥子は呆れたような声を出す。
「留美、ずるーい。私の方が先に聞いたのに」
私はにっこりと笑って余裕の表情を見せる。
「遥子が答えてくれたら私も答えるわ」
「そんな……」
遥子は困ったように俯き、どうすべきか迷っているみたいだ。
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