待つ女、誘う女、奪う女。第15話

留美の独占欲

遥子はフーッと大きく息を吐いた。

「あーあ、全部バラしちゃった。今度は留美の番よ」

遥子の目は鋭くなり、言い逃れは許さないといった表情だ。

「私と孝一さんは昨日も会ったわ」

勝利宣言するスポーツ選手のように私は堂々と告げた。

遥子の顔が驚きに変わる。

「ほんと？　別れたんじゃないの？」

「別れられない運命なの」

私は笑顔で意味深に言う。

遥子はきょとんと口を半開きにしていた。

私は優越感に浸りながら、誇らしげに言葉を続ける。

「一度はフラれたわ。でも引き戻したの」

「ど、どうして……？　何で孝一さんは留美に戻ったの？」

まったく予想外の事実で興奮している遥子は身を乗り出した。