272人が本棚に入れています
本棚に追加
数日前、孝一から連絡があった時は飛び上がらんばかりに驚いた。
「会えないかな?」と恐る恐る聞かれ、私は感激で泣きながら「会いたい!」と告げた。
昨日の午後、一週間ぶりに会った孝一は、こっちが心配になるほど憔悴していた。
随分と悩み苦しみ、精神的に疲れ切ってしまったのだろう。
「留美とやり直すのが一番いいのかもしれない……」
静かなカフェで正面に座った孝一は、開口一番そう言った。
ゆったりと構えて理由を聞くと、孝一は気持ちのすべてを吐き出した。
「留美の心だけじゃなく身体まで傷つけてしまった僕は、やっぱりこのまま留美を捨てられない」
「この一週間、留美のことばかり考えていて」
「このまま別れたら僕は一生、後悔しそうだよ」
「留美と子供にどうやって償えばいいのか……」
孝一はそれらの言葉を苦しげにこぼした後、もう一度言った。
「留美とやり直して、留美と生きてくべきじゃないかと思ったんだ」
気持ちが固まった意志というより、どこか虚ろな言い方だった。
最初のコメントを投稿しよう!