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「会って話そう。沙織はいつがいい?」
“会う”とまで言ってくれたので、この電話で追及する気持ちは消えていく。
「いつでもいいわ。早い方がいいけど」
「じゃあ明日の夜は?」
ラジオ局に呼ばれているのは2時だから、夜なら予定は空いている。
一日も早く会いたかったので、私は迷わず答えた。
「孝一がいいなら、私は大丈夫よ」
「じゃあ明日、沙織のお祝いも兼ねて会おう。昼までにはレストラン決めてメールするよ」
「ありがとう。メール待ってる」
電話を終えた瞬間、その場に倒れてしまいそうだった。
緊張が解けたのと、会える約束が出来た喜びで。
孝一は「お祝いも兼ねて」と言ってくれた。
まだ私のことを気にかけてくれている。
私は失った自信を、僅かだが取り戻していた。
孝一との電話が終わったことを告げる遥子への電話は、自然と嬉しそうな声が出た。
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