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徹夜にはならなかったものの、その夜の眠りは浅かった。
初めてラジオ局へ出向く事と、夜には孝一と会える事で気持ちが昂り、なかなか寝付けなかった。
孝一との電話のあと部屋に呼び戻した遥子とは、夜10時過ぎまで話して別れた。
遥子は「私までドキドキする」と言いながら、私を励ましてくれた。
「孝一さんとしっかり向き合ってきてね」
私をまっすぐに見つめて言った遥子の言葉が胸に響いた。
◆ ◆ ◆
ラジオ局に向う電車の中で、孝一からのメールを受信した。
ドア付近の角に立っていた私は、そっと盗み見るようにメールを読んでいく。
予約したレストランの名前と、今夜7時という待ち合わせ時間が書かれていた。
レストランは孝一の会社に近い場所。
その方が少しでも早い時間に待ち合わせできるから、と書き添えてあった。
私は「ありがとう。その場所と時間で了解!」と短い返信をして、携帯をバッグに仕舞う。
電車はもうすぐ降りるべき駅に着くところだった。
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