沙織の心が壊れた時

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「まぁ一発でオッケーって事は無いと思って、書き直し覚悟で頑張ってみてよ」 「はい! 頑張ります!」 私は答えながら身が引き締まる思いだった。 喜びの興奮は極度の緊張へと変わっていた。 「じゃあ、そういう事でよろしく。出来上がったら僕に連絡ください」 「分かりました。よろしくお願いします」 後藤さんとの話はそこで終わった。 小さめの会議室のような部屋を一緒に出て、後藤さんは私をエレベーターまで見送ってくれた。 下りのエレベーターに私だけ乗り、ドアが閉まる瞬間、後藤さんは「じゃあ」と片手を挙げる。 私は心を込めてしっかりと頭を下げた。 エレベーターが一階に着いて建物から外に出ると、私は大きく息を吐いた。 一人になって先程までの緊張は解けているが、大変な宿題を抱えた子供みたいな気持ちだった。 孝一に会う時間まで、まだ4時間ある。 どこかでシナリオの構想を考えようと思い、落ち着いたカフェを探して店内に入った。
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