沙織の心が壊れた時

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アメリカンコーヒーにミルクと砂糖をたっぷりと入れ、一口めをゆっくりと飲む。 普段は砂糖抜きで飲むのだが、精神的疲労が甘味を欲していた。 30分の恋愛ドラマ、どんな内容にしよう……。 主人公の性別も年齢も私に任せる、と言ってくれた。 物語の雰囲気も私の自由で良い、と。 コメディタッチでいくかシリアスでいくか迷う。 この一本が好評ならば追加で書かせてもらえるのだから、ここは大きな正念場。 できれば一人でも多くの人にウケるものを狙いたい。 マニアックなものではなく、万人ウケを目指さなければ……。 多少ベタでもあざとくても、ウケなければダメなのだ。 そう考える反面、真逆に近い気持ちも捨てられない。 ウケるとか周りの評価など気にせず、書きたいものを書いてみたいと。 せっかく掴んだ初めてのチャンス! たとえこの1本で終わってもいいから、この1本だけは一番伝えたい自分の思いを書きたい――。 そんな欲求も沸々と沸き起こるのだ。
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