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書きたいテーマやキャラクター、思いつくエピソードなどを箇条書きにメモしていると、あっという間に時間は過ぎた。
孝一と会う直前でも、シナリオに没頭できた自分に安堵していた。
大丈夫――。
たとえ何があっても、私はちゃんとやっていける。
呪文のように自分に強く言い聞かせ、私は孝一との待ち合わせ場所に向かう。
孝一が予約してくれたレストランに入る時、少し後悔した。
直前までシナリオのことを考えていたので、十分な化粧直しが出来なかったから。
約束の15分前に孝一からメールが届いた。
『早めに着いたから、レストランの中で待ってるよ』
メールにはそう書かれていて、私は慌ててレストランに向かったのだ。
お店のスタッフに案内されながら、孝一が座っている席に近づいて行く。
壁際の落ち着けそうな席で、すぐ側には美しい花が大きな花瓶に飾られていた。
孝一が私に穏やかな笑顔を見せる。
私も孝一に向かって微笑みながら、正面の席に座った。
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