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「嘘でしょ?」
私は悲鳴に近い声で叫んでしまい、握っていたスプーンに乗ったジャガイモが、ゴロリとカレーの中に落ちた。
「だって留美がそう言ったから……。嘘をついてるとは思えなかった。そんな嘘をついたって、すぐにバレるだろうし」
遥子は説明しながら私の作ったカレーを食べている。
私はもう呑気にカレーなど食べている場合ではなかった。
遥子の報告によると、孝一は留美とやり直すことに決めたらしい。
そんなの嘘。
信じられない。
嘘に決まってる。
そう思いたいけれど、遥子の言葉がズキズキと胸に突き刺さる。
「嘘だと思うなら、沙織が孝一さんにハッキリ聞いてみたら?」
何も言い返せない私は、食べかけのカレーの皿を流し台に置きに行った。
遥子はキッチンにいる私を見て、心配そうに声を和らげて訊く。
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