沙織の心が壊れた時

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だったら賭けてみたいと思う。 留美の言葉なんか孝一が否定してくれれば、今夜だって心安らかに眠れるだろう。 明日のことも上手くいく気がする。 この時、私はまだ孝一を信じる心の方が強かった。 だからこそ、思い切って電話をかける気にもなったのだ。 「遥子の言う通りなんだけど、やっぱり今かけるわ」 「ほんとに大丈夫?」 「ハッキリさせないと今夜は眠れないし。明日、徹夜で行ったら何か失敗しそうだし」 遥子は心配そうな顔で私を見つめる。 「沙織がそこまで言うなら反対はしないけど……」 「じゃあ悪いんだけど、電話かけてる間、一人にさせてもらっていい?」 「もちろん! 私、自分の部屋に戻るね」 「電話が終わったら呼ぶから。また来てくれる?」 遥子は当然といった顔で大きく頷き、ぱっと立ち上がって玄関に向う。 ドアを開けて部屋から出る直前、「頑張ってね」と私に告げた。
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