留美の心が崩れる時

4/25
前へ
/40ページ
次へ
翌日、予定通りに遥子からのメールが届いた。 『今週土曜日の午後3時、新宿Kホテルのティーラウンジでお茶しましょう』 その日、孝一は休日出勤だと言っていたので、私は遥子の誘いを快諾。 一人のつまらない土曜日が、楽しい約束で埋まって嬉しかった。 遥子を通じて沙織の情報を耳に入れられるのも大きなメリットだ。 もっとも孝一と沙織の仲に関しては、もう何も心配していない。 彼は二度と私から離れないだろう。 ◆ ◆ ◆ 約束の土曜日、私は待ち合わせのティーラウンジへ向かう。 その直前、ホテルの化粧室で念入りに化粧直しをした。 幸せで華やかな自分を遥子に見せつけたくて。 うん、完璧だわ――。 周りに人がいなかったので、私は化粧室の鏡の前でにっこりと微笑んだ。 化粧室を出てティーラウンジに向う途中も浮かれ気分だった。 そしてラウンジに足を踏み入れ、遥子の姿を探して全体を見回した瞬間……! 私は驚きのあまり、身動きできなくなった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加