150人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほんと気を遣わないで。嫌われて軽蔑されて当然だもの」
「留美をここまで追い詰めた僕にも責任はあるから」
心の底から泣けてきた。
一緒に悪者になろうとしてくれる孝一の言葉が身に沁みて。
「優しいのね。私のこと、怒ってないの? 許してくれるの?」
無理だとは悟っていたが、ほんの僅かだけ期待してしまう。
孝一と別れずに済むことを。
孝一は悲しそうな目をして言う。
「僕に怒る資格はないよ。元はと言えば、留美と沙織の間で揺れた僕が悪いんだから。僕は留美も沙織も苦しめた……」
本当に孝一の反応は意外だった。
一方的に責められたり、呆れられると覚悟していたから。
孝一の思いやりで、私の深い自己嫌悪は救われていた。
「じゃあ、送ってもらおうかな……。ほんとに孝一さんがいいのなら」
私は少し甘えを含んだ声で言った。
最初のコメントを投稿しよう!