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だが甘えたい気持ちは、孝一が発した次の言葉で吹き飛んでしまう。
「今日は心配だから送っていくよ。でも……」
孝一は泣き出しそうな顔で決定的なことを言った。
「僕たちの付き合いは終わりにして欲しい」
聞いた瞬間、私は目を閉じる。
覚悟していたとはいえ、孝一の言葉として現実に聞くと、それを受け止める心が悲鳴を上げていた。
私は目を開け、精一杯の言葉を返す。
「孝一さんが別れたいと思うのも当然よね」
「やり直そう、って言ったばかりなのに申し訳ないけど……」
「ううん。私が悪いんだもの。……別れましょう」
「ごめん……。じゃあ帰ろうか」
申し訳なさそうに言う孝一に向って私は告げた。
「やっぱり一人で先に出て」
怪訝そうに私を見つめる孝一。
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