留美の想い

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真夏の戸外は夕暮れ時でも暑い。 買い物に出たスーパーからの帰り道、ゆっくり歩いていても汗が噴き出していた。 ――あれっ? 自宅のマンションが近づくにつれ、二つの人影が段々と大きく見えてきた。 女性が二人、マンションのエントランス付近で話し込んでいる。 ――どうして?! どうして、ここにいるの? 二人の女性が誰なのかハッキリ見える場所まで来た時、私は立ち止まってしまった。 驚きのあまり、身動きが取れなくて。 二人の女性は沙織と遥子だった。 彼女たちが私に気づく前に、逃げることも頭に浮かんだ。 だけど身体は固まったまま動けなくて。 「留美……!」 私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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