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私に気づいた遥子の叫び声だった。
その声と同時に、沙織と遥子の二人が私の側まで駆け寄ってくる。
私はその場から一歩も動けなかった。
「留美……やっぱり留美だったのね……」
私の顔と膨らんだお腹を交互に見つめながら遥子が言った。
沙織は“信じられない”という驚きの表情で、呆然としている。
私は遥子に「やっぱり」などと言われ、何が起こったのか理解できず眉をひそめた。
「何なの、二人とも?」
私が迷惑そうな声で聞くと、冷静さを取り戻した沙織が、遥子の言葉を補うように説明する。
「留美に似たお腹の大きい人を見た、って遥子に言われたの。だから私、留美に電話してみたんだけど通じなくて……」
「それ、いつのこと?」
「先月よ。二週間くらい前の夕方。銀座にいなかった?」
私は思い出した。
銀座で知り合いのママさんと会った日だ。
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