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私は大きな溜息をつき、呆れた声を出す。
「お節介ね。わざわざ家まで来るなんて驚いちゃう」
沙織は怯まず真剣な顔で尋ねてくる。
「ねぇ留美。できれば事情を聞かせて欲しいの。今、話す時間ない?」
私は無言で間を置き、迷った末に答える。
「分かったわ。散らかってるけど部屋で話しましょう」
私は言いながら自分の部屋に向って進む。
沙織と遥子も後から付いて来た。
部屋の中に入り、エアコンのスイッチを入れる。
蒸し暑い室内に冷たい風が流れ込んだ。
リビングの椅子に沙織と遥子は、かしこまったように並んで座っている。
私は二人の前に麦茶の入ったグラスを置き、正面に腰を下ろした。
「孝一の子供なの?」
何の前置きもなく、沙織の質問は単刀直入だった。
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