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「二人とも分かったなら、帰ってもらえるかしら。これ以上は話すこともないし」
私が告げると俯いていた沙織が顔を上げた。
「孝一に伝える気持ちにはなれない、って言ったけど、どうして? もう好きじゃないから?」
沙織と私の視線がぶつかり合う。
沙織は私の本心を読み取ろうとでもするように、私から目を離さない。
「……好きよ。今でも」
ぽろりと本音がこぼれ出た。
沙織と遥子の目の色が変わる。
私は慌てて言い添えた。
「でも誤解しないで。孝一さんとヨリを戻したいとか、一緒になりたいとか、そんなことは望んでないから」
「どうして?」
眉を寄せて遥子が尋ねた。
続いて沙織も質問をぶつけてくる。
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