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沙織と遥子の承諾に、私は胸を撫で下ろす。
「ありがとう、分かってくれて。それから……私のこと、気にかけてくれたのも」
二人にお礼を言うなんて最高に照れ臭かったけれど、精一杯の思いを告げた。
「留美……身体には気をつけてね。ほんとに」
沙織の言葉が心にじんと沁み込んできた。
恋のライバルだった沙織。
嫉妬や憎しみを抱いた時もあった相手。
その沙織の言葉を、こんなにも自然に素直に受け止められるなんて……。
子供を身ごもったことによる私の変化は、とてつもなく大きかった。
沙織と遥子は最後まで私の身体を気遣いながら帰って行った。
これで良かったのだ、と改めて感じる。
孝一にも幸せになって欲しい、と今は素直に思う。
仕事での成功も願うし、彼が好きな人と一緒になればいいと思う。
その相手が沙織なら、沙織と結ばれればいい。
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