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食欲もなく、寝つきも悪くて睡眠不足になりがちだった。
何もする気になれず、誰とも会いたくなくて。
それでも何とか会社にだけは足を運んだ。
無気力なまま、どうにかこうにか一日をやり過ごし、夜もなかなか眠れない。
そんな状態で年末、そして正月休みを終えた。
新しい年になり、私を心配した可南子や私に好意を持つ社内の男性からの誘いにも、ようやく応じる気持ちになった。
時の経過と共に少しずつ少しずつ、普通の生活に戻れる気がした。
だけどまだ、孝一を忘れたわけじゃない。
吹っ切れたわけじゃない。
彼のことは諦めたけれど、好きな気持ちだけは残っていた。
孝一を想う恋心は、新しい年の一ヶ月が過ぎ、2月に入っても消えない。
片思いや未練なんて無意味だと頭では判断していても、心は頑として動かないのだ。
――しばらくは淋しさや切なさと向き合っていくしかないわ。
時間が解決してくれるのを信じて、私はそんな覚悟を決めていた。
他の男性と付き合う気持ちにもなれなかった。
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